顔面神経麻痺の治療

薬物療法

 急性の顔面神経麻痺は、ベル麻痺とハント症候群によるものが全体の約70%を占めます。急性期に行う顔面神経麻痺の薬物治療の目的は、神経の障害の進行を抑えることを目的としています。そのため、急性期の顔面神経麻痺に対する薬物を用いた治療法としては、神経のむくみを取る薬(ステロイド)、ウイルスを抑制する薬(抗ウイルス薬)などが中心となります。

1、ステロイド

神経の浮腫(むくみ)をとる目的のため、発症早期に投与するほど有効であり、遅くてもむくみがピークとなる10日以内の開始が望ましいとされます。ステロイドの投与は、経口と点滴がありますが、顔面神経麻痺の重症度に合わせて適切な投与量を決定します。ステロイドの副作用については、短期投与では稀であるため、麻痺の治療として副作用は問題にはなりませんが、糖尿病、腎機能障害、肝機能障害、胃潰瘍、等を合併している場合や、乳幼児、高齢者の場合はステロイド治療を行いません。

2、抗ウイルス薬(アシクロビル)

ウイルスの増殖を抑制する薬剤で、顔面神経麻痺の発症3日以内の投与が望ましいとされています。その他、神経の血流を良くする薬(循環改善薬)や、神経の再生を促進する薬(ビタミン剤、代謝促進薬)なども使用されます。

 

 

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