顔面神経麻痺の基礎知識
顔面神経麻痺の治療
形成外科領域における顔面神経麻痺の治療は、原因疾患により異なりますが、急性期の治療と慢性期の治療に大別されます。また、急性期の治療は、回復性顔面麻痺と非回復性顔面麻痺により異なります。
急性期の治療として、回復性の急性顔面神経麻痺の代表的なものはベル麻痺とハント麻痺で、かかった直後より薬物療法(保存療法)の効果があると言われます。
一方、非回復性の麻痺として、腫瘍摘出術後や外傷などで、明らかに顔面神経の断裂・欠損がある場合(これらは薬物療法で回復する可能性の高いベル麻痺などと区別するために、非回復性麻痺と呼ばれます)、なるべく早期(6か月以内)に神経移植などを行うことで、顔面の筋肉が再び動くようにします。
1年以上経過し麻痺が残存した症例に対しては、表情筋が萎縮(脱神経性萎縮といいます)して回復しなくなっています。顔面麻痺では「慢性顔面麻痺」とは言わず「陳旧性顔面麻痺」と呼びます。形成外科では古くより様々な方法で、できるだけ自然に近い表情が獲得できるような手術法が開発されてきました。静止状態での左右対称性の獲得(静的再建)、運動時の左右対象性の獲得(動的再建)や、麻痺性兎眼に対する閉眼機能の獲得を目的とした治療を行います。
症状は麻痺が起こった部位によって異なります。手術方法も各症状によって適応が変わります。詳しい治療法および手術法は、顔面神経麻痺の治療(手術)をご参照ください。
なお、詳細な治療法については、顔面神経麻痺の治療の各項目をご参照ください。
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