顔面神経麻痺の治療

急性期の治療2-非回復性顔面麻痺

 非回復性の麻痺として、腫瘍摘出術後や外傷などで、明らかに顔面神経の断裂・欠損がある場合(これらは薬物療法で回復する可能性の高いベル麻痺などと区別するために、非回復性麻痺と呼ばれます)、なるべく早期(6か月以内)に神経移植などを行うことで、顔面の筋肉が再び動くようにします。

 筋肉は神経が遮断されてから6-12ヶ月で萎縮してしまいますが、顔面は血流が良いため2年くらいまでは回復が可能と言われます(いづれにしても、早く治療した方が回復の可能性は高くなります)。

 

1、神経縫合:

切断された顔面神経の断端同士を縫合します。長い欠損があり直接つなげない場合には、他の神経(知覚神経)を使って神経移植を行い、連続性を確保します。神経の中枢側が頭がい骨内や脳内にあって利用出来ない場合は、以下の方法(2や3)を用います。

2、神経交差縫合術:

舌を動かす舌下神経などの他の運動神経と顔面神経をつなげる方法です。欠点としては、舌を動かさないと笑えないなど正常な笑いが回復できないことです。

3、顔面神経交差移植術:

足などのほかの部位から長い神経を採取し、麻痺のない側の顔面神経と切断された顔面神経とをつなげて左右同調した表情の再現をめざす方法です。神経切断後、できるだけ早い時期(できれば3カ月以内)に手術しないと効果が得られにくくなります。また、約30-50%程度の力しか得られないので、完全麻痺が不完全麻痺になる程度の回復であると思った方が良いでしょう。

 

 

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