顔面神経麻痺の基礎知識

顔面神経麻痺とは

 顔面神経麻痺とは、一般に顔面麻痺(がんめんまひ)とも呼ばれるように、「笑い」などの表情を作る顔面の筋肉(表情筋といって、顔の片側に約20個あります)が動かなくなった状態のことを言います。患者さんの中には、顔面神経痛といって受診されることもありますが、この表現は三叉神経痛と混同した表現で、医学的には顔面神経痛という疾患名はありません。

 

  顔面神経麻痺は、12本ある脳神経のうちの、7番目の神経(顔面神経)の異常で起こる表情筋の麻痺で、顔が激しく痛むことは少なく、顔が動かなくなる(表情が作れなくなる)のが主な症状です。その他の症状として、涙液(なみだ)の分泌障害、聴覚過敏、味覚障害、などの症状を伴うこともあります。ちなみに、顔面神経痛と呼んでいるものは、5番目の神経(三叉神経)の異常によって起こり、顔面の激しい痛みが主症状である三叉神経痛のことをいいます。

 

  三叉神経痛は脳外科や麻酔科(ペインクリニック)で治療されます。顔面神経麻痺は、ベル麻痺のように突然に起こった急性顔面麻痺(きゅうせいまひ)は、耳鼻科、ペインクリニック、脳外科、神経内科、形成外科などいろいろな診療科で治療されますが、ほとんどが薬物療法になります(中でも、耳鼻科とペインクリニックがもっとも多いようです)。一方、後遺症として長年にわたり麻痺が残ってしまう陳旧性顔面麻痺(ちんきゅうせいまひ)は、新しく筋肉を動かすことが必要になりますので古くより形成外科で治療されてきました。

 

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