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2010年の記事一覧:

気まま 始めました

かまわぬ?

東京に雪が・・

東京に雪が・・(続)

創傷とは

プロとアマ

パソコン依存症

チリ地震

リニューアル!

4月1日に思うこと

なごり雪?

東大形成50周年

笑顔の効果

顔面麻痺とは (1)

顔面麻痺とは (2)

顔面麻痺の症状(1)

顔面麻痺の症状(2)

ワールドカップ

豪雨と猛暑

桂枝雀の落語

便利なもの

がむしゃらの心

韓国(1) 交通事情

韓国(2) 大病院

脂肪吸引の事故

美容医療の適正価格

顔面麻痺の治療1

顔面麻痺の治療2

顔面麻痺の治療3

顔面麻痺の治療4

顔面麻痺の治療5

プロフィール:

名前:波利井清紀

かな:はりいきよのり

職業:杏林大学医学部
    形成外科教授
 東京大学名誉教授

生年月日:1941.6.6

星座:ふたご座

血液型:AB型

趣味:ゴルフ、読書


【過去ログ】

特集:顔面神経麻痺

2010年の記事一覧

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このページは、2010年「気まま日記」の一覧です

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気まま・徒然・ときどき日記、始めました

2010年1月5日

あけましておめでとうございます。

新年早々、形成外科のHPリニューアルするので新しい試みとして、今年からホームページに「教授日記」なるものを作りますので、気がついたことなどメモしておいて下さい。よろしく~~。と、HP管理人から言われました。

日記なんて生まれてこの方書いたことがありませんが、初めて挑戦します。それもHPでです。

とりあえず、気まま、徒然なるまま、そして、ときどき書きますのでよろしくお願いします。

 

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かまわぬ・・・・?

2010年1月19日

気付いた方もいらっしゃると思いますが、この日記の背景は、絵の「鎌」「輪」文字の「ぬ」でできています。これは「かまわぬ」と読む江戸時代に流行した判じ絵(シャレなぞなぞ)です。

特にお構いもしませんがお気軽にどうぞ、という気持ちを込めて、これにしました。

それから、構えずに気楽に日記を更新しようということも理由のひとつです。

本当のところは、のんびりしたいので私に構わないで!という意味も含んでいるのですが・・・。現役教授はそうもいきませんね。

 

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東京に雪が降りました

2010年2月1日

1月中は比較的暖かく、ゴルフ日和の日が多かったので「やっぱり地球温暖化か」と思っていましたが、本日雪が降りました。体がすっかり暖かさに慣れっこになっていたので、結構寒さが体にこたえます。

家の前に雪が積もると、車が通れなくなるので、急いで帰宅。なんとか車庫に入れました。天気予報では東京でも5センチ位積もるとのこと。明日はどうなる事やら・・。goodnight。

(あーあ、休みたいなあ。)  zzz zzz zzz zz

 

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東京に雪が降りました(続編)

2010年2月2日

昨日の夜から降り続いた雪は、朝には積雪になっていました。といっても4-5センチくらいです。でも東京ではこれくらいでも結構大変です。というのは、雪用の支度を持っていないから、転ばないようにそろそろ歩いて疲れました。

こんな時、転んで骨折したら救急車で杏林に出勤(じゃなく入院)なんてことになりかねません。

昼過ぎには道路の雪は、ほとんどが消えてました。ほっとひと安心。

平成22年2月2日の朝、雪が積もっていました。

 

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創傷とは

2010年2月8日

唐突ですが、創傷(そうしょう)という言葉ご存知でしょうか?

「キズ(傷)にキズなく、創にキズあり」といわれるように、古来、「創」は比較的深いキズを指すようで、切創、刺創(せっそう、しそう)という漢字もあります。

「創」に対して、すり傷に代表されるように、「傷」は表面の浅いキズを表しているとされています。しかし、「やけど」も熱傷というように、広い範囲のキズにも傷という字が使われています。

医学的には、「創」と「傷」どちらもキズを指す言葉です。創(キズ)・傷(キズ)を総称(そうしょう)して創傷(そうしょう)となります。ダジャレではありません(笑)。

ちなみに、この説明(ミニ情報)はあまり深い意味はありません。というのは、創と傷の使い分けには習慣的なものもあるからです・・あしからず。

第一回日本創傷外科学会を開催して。

 

今後もこのようなミニ情報も入れさせていただきますよー (^-^)v

 

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プロとアマ

2010年2月12日

昨年来、プロゴルファーの石川遼君の活躍がめざましいですね。我々アマチュアゴルファーから見れば、飛距離も獲得賞金も何から何まで、羨ましい限りです。プロから見れば、「遊びでやってるんじゃないんだ。プロの方が毎日毎日大変だよ」と言われそうですが・・。

プロとアマの違いってなんだろう? 対価としてお金を頂くのがプロでしょうか。 お金を頂くにはそれなりの責任と義務が発生しますし、対価も均一ではなくその人の能力・経験・人気など、さまざまな要因によって異なります。

医師の世界にアマチュアは居ませんが、現在の日本の健康保険制度では、同一の医療に対する費用は、どの医師(教授も新米のレジデントも)が行っても日本国内均一です。しかし、自費診療(形成外科関連では主に美容外科)となるとそれぞれに変わってきますが、ある程度の適正価格はあると思います(有名プロは高くなる?)。

高価な医療が必ずしもベストな医療とは限りませんが、医療はボランティアではありませんので、安すぎる医療提供には何らかの犠牲やカラクリがあるのではと感じる今日この頃です。

今日は、難しい話でスミマセン。

 

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パソコン依存症

2010年2月19日

先週、ずーっと愛用していたパソコン(ウィンドウズXP)が、突然壊れてしまいました(ちなみに2月12日の日記を書いた後です・・・)。あまりに硬すぎる日記を書いてしまったので、PCが怒ったのかなー。まさかね。

今も修理中なので、とりあえず予備のパソコンで、最小限の仕事だけを行っていますが、これは携帯用のノートパソコンなので、大変画面が小さくて、また、ウィンドウズVistaで勝手が違い、バリバリ仕事を行う気になりません。ボンヤリ・・・。

ウインドウズ95の時代からパソコンを使い始めて十数年、知らず知らずのうちに、パソコンの存在と影響が大きくなっていることを、初めて認識させられました。

特に、最近の連絡事項は何でもメールで来るようになりましたので、パソコンが故障した時は無人島に一人ぼっちになった気さえしました(ちょっと大げさですかねー)。

パソコン依存症(正しくはメール依存症?)になっていた私は、若い人たちの電車内での携帯メールのやり取りを、頭ごなしに否定できません。

もっとも、私は電車にあまり乗らないし、老眼なので携帯メールは使えませんが・・・。

 

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チリ地震

2010年3月2日

2月27日のチリ地震で、犠牲者のご家族の方々に哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々には、心からお見舞い申し上げます。

 

遠く離れたチリでの地震が、日本にまで大きな影響を与えることを考えると、本当に地球は1つ、globalなのだとあらためて思いました。もっとも、globalなどという言葉の無かった、50年前、僕が学生のころにもチリ地震による大きな津波被害が日本にもありましたが・・・。

地震によって発生した大波が太平洋を日本に向かって来ているちょうど同じころ、僕はハワイから日本に向かっている飛行機の中でした。海上はさぞ荒れていたと思いますが、さすがに空の上では地震による影響はまったく無く、何も知らずに日本に到着しましたが、なんとなく妙な感覚でした。

 

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リニューアル!

2010年3月9日

先日(3月5日の夜)、ようやく当教室のホームページをリニューアルしたとの連絡がありました。

ずいぶん前から、リニューアルを予定していましたが、なかなか新しくならないので「いつになったらできるのかな?」と、内心思っていましたが、細かな修正があったりして、やっと新しくなったとのことでした。

今までよりも、形成外科症例の説明などを充実させましたので、少しでもご参考になればと思います。

時々登場する「ふくろう君」たちはご愛嬌です。だれかに似てますか~?

ふくろう君

 

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4月1日に思うこと

2010年4月1日

すっかりご無沙汰致しました。

今年、東京は花冷えで異常に寒い4月1日ですが、近くの公園の桜は7分咲きの見ごろになっ てきました。

この時期になると、僕はいつも思い出すのが、劉希夷(りゅうきい)の「洛陽城東 桃李花」ではじまる漢詩を思い出しま す。 この詩自体は結構長いのですが、中ほどにある、「年年歳歳花相似、歳歳年年人不同」というとこ ろが、語調の良さで有名です。読み方は下の(注)をご参照ください。

花は毎年同じに咲くが、人(=自分)は同じではなく年を取って変わっていく、という意味らしいのですが、僕はいつも「人」を自分だけではなく周囲の人も含めて変わっていくと思っています。特に、3月と4月は人事の交替、学生の進級・卒業などで大学は変わっていきます。「花相似」でも「人」はどんどん変わります。

自分だけはいつまでも若い頃のまま、変わないということは難しいことですね。 僕の年になると若い頃に比べて、新しいものに順応することが難しくなりますが、せめてPCの進化 にくらいはついていこうと、ウインドウズ7に取り組む今日この頃です。ご無沙汰していた3週間は、Windows 7とoffice 2007 にかかりっきりでしたが、まだまだ使いこなせません。

 

(注)

洛陽城東 桃李花: らくよう じょうとう とうりのはな

年年歳歳花相似、歳歳年年人不同: ねんねんさいさ い 花あい似たり、さいさいねんねん 人同じからず

 

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なごり雪?

2010年4月16日

4月に入ってからも寒い日が続きますね。皆様の体調管理も大変だと思います。風邪などひいていませんか。

天気予報では、今夜、関東地方に雪が降るとのこと(実際、箱根では積雪してるそうですが・・)

ところで話は変わりますが、たまにカラオケに誘われてついて行くとこもありますが、イルカ氏が作った「なごり雪」を誰かが歌っていると僕の青春時代を思い出します。

でも、僕はこの歌の歌詞をずっと不思議に思っていたのです。というのも、春なのに雪なんか降るわけ無いと思っていました。

今年のような天気だと、この歌詞は事実だったのかな?と思わざるを得ません。ちょうど40年前くらいにもこのような天候であったとのこと、当時はすでに形成外科医でしたが、覚えておりませんので、間違っていたらすみません。おそらくイルカ氏がこの歌を作ったときも、こんな不順な天候だったのでは?

ちなみに、僕自身は、約10年前、3月なのに東京で大雪が降ったことがあり、チェーンをつけずに運転していたので、遭難にそうになったことがあります。

春でも皆さん気をつけてください。

 

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東京大学形成外科50周年

2010年5月11日

連休も終わって、ようやく通常通りの勤務体制になりました。

皆さんはどのような連休をお過ごしになったのでしょうか?

僕は、学生時代の友人たちと九州へドライブ旅行に行ってきました。さほど外に出て遊んだわけではありませんが、「ずいぶん良い色に日焼けしましたね(笑)」と言われてしまいます。いえいえ、これは地黒ですから・・・。

話は4月に戻りますが、4月24日に「東京大学形成外科50周年記念祝賀会」が催されました。ご存知の方も多いと思いますが、僕は1988年から2003年まで東京大学形成外科の教授で、停年退官後から杏林大学形成外科の教授を務めております。

東大に形成外科が開設されて50年。僕は1977年に助教授として赴任しましたので、約26年東大形成外科で過ごしました。50年の半分に携わったことになります。開設のころはわずかの人数でしたが、今では、ずいぶん大きくなり、関連病院や形成外科教授の数も増え、認知度も向上していると思います。しかし、インターネットなどを見ると「形成外科」と「整形外科」を混同している人もまだまだ見受けられるようです。

ちなみに「形成外科」と「整形外科」の違いは、当HPのちょっとコーヒーブレイク(その1)でも、簡単にご紹介しています。

今後とも形成外科をよろしくお願い致します。

m(^-^)m

 

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笑顔の効果

2010年5月30日

私たちは多くの場合、外見(見た目)や印象でその人を判断しがちです。人と接するとき、挨拶や言葉遣いと同様に、表情も重要な要素だと思いませんか?

昨年、「人は見た目が9割」という本も出たりしましたね。

いくら顔の造作が整っていても、無表情や怒った顔ではあまり魅力的には感じないものです・・。ニコニコと笑顔でいるほうが魅力的に見えます。人間関係に良い影響を与えるために「笑顔」や「笑い」というものは重要なことだと、僕は思います。

「笑う」という動作は、他人に対しても影響を与えますが、自分に対しても影響を与えます。 「笑う門には福来る」ということわざのように、イライラした時や悲しい時も、無理してでも笑う(笑うふりをする)と、不思議と心の中が明るくなってきます。また、リラックスできてストレスも解消される(ような気がする)。 また、免疫力が高まり健康にも良いという説もあるようです。

ちなみに僕の場合、「笑い」が良いといっても、ゴルフの時「がっはっはー」と大笑いするのはマナー違反ですし、緊張感がなくなるためスコアもいまいちです。「ふふっ」と微笑んでいる(正しくは、ほくそ笑む)時は、ショットもパットも結構良い感じです。心の余裕とリラックス、そして適度な緊張感がうまい具合にミックスされた場合に、良いゴルフができるのではと思うのですが、残念ながら検証する方法はありません・・・。

 
そういえば、昔、こんなのも流行ってました!  
 (^-^)
ニコニコマーク

 

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顔面麻痺とは (1)

2010年6月4日

前回(2010年5月30日)の日記に、「笑い」は人の社会生活において重要な要素であるということを書きましたね。

笑うという動作は、顔面にある表情筋(ひょうじょうきん)とよばれる、数多くの小さな筋肉が働いて作られる非常に複雑で高度な動作です。微笑、大笑い、皮肉な笑いなど、ロボットに人間と同じような笑いをプログラミングすることは、現状ではおそらく不可能ではないでしょうか。(もし、可能だったら認識不足です。ごめんなさい・・)

この表情筋を動かしているのが、脳から直接出ている顔面神経(がんめんしんけい)という1本の神経なのです。 病気や非常に強いストレスなど、何らかの原因によってこの顔面神経がダメージを受けると、顔面の筋肉を動かす表情筋が麻痺を起こしてしまいます。多くの場合、顔の半分に麻痺がおこります。

「ある朝突然に鏡を見たら、顔がゆがんで顔半分が動かなくなってしまった!もちろん笑うことも出来ません。どうしたらいいでしょうか?」

このような症状を総称して「顔面麻痺(がんめんまひ)」または「顔面神経麻痺(がんめんしんけいまひ)」と呼びます。

通常の場合、顔面の神経が一時的に麻痺していることが多いので(急性顔面麻痺)、薬物などの治療で半年から1年位すると自然に回復します。

私たちは、無理をして体力が落ちていたり、非常に寒い思いをした時に、風邪をひいて寝込むことがありますね。 急性顔面麻痺は、たとえるとすれば、顔面の神経が風邪をひいたような状態ですので、薬を飲んで安静にして休ませればほとんどが治ります。しかし、風邪でも、こじらせると肺炎になったり、重病につながることもあります。急性顔面麻痺でも原因によっては、急性期を過ぎて(1年以上経過して)も治癒しない場合は「陳旧性顔面麻痺(ちんきゅうせい がんめんまひ)」と呼ばれます。

杏林大学形成外科のウェブサイト内の「顔面神経麻痺(陳旧性顔面神経麻痺)」のページにも記載しておりますが、もう少し分かりやすくご紹介したいと思いますので、今回から数回シリーズで記載いたします。

興味のある方は読んでみてください。

 

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顔面麻痺とは (2)

2010年6月30日

「急性顔面麻痺と陳旧性顔面麻痺について」

前回の日記から、また少し時間が空いてしまいました。続けて書くのは、なかなか難しいものですね。

 

私たち形成外科医は、顔面まひ(顔面神経麻痺)をFP(えふぴー)と呼んでいます。ちなみにこれは、顔面麻痺の英語名であるFacial Paralysis(顔の麻痺)を略したものです。

顔面麻痺は大きく分けて2つに分けられます 。

1、急性顔面麻痺
2、陳旧性顔面麻痺(ちんきゅうせい がんめんまひ)

陳旧性という言葉は、あまり聞き慣れない言葉ですが、医学的に用いられ「古くなった」という意味の言葉です。

 

急性顔面麻痺の代表症例は、ベル麻痺やハント麻痺などのヘルペスウイルスなどによるものや、外傷や耳下腺腫瘍など腫瘍を切除したことによる一時的な神経損傷による麻痺が上げられます。耳鼻咽喉科を受診される方や鍼灸院を受診される方などさまざまです。これらは、もちろん当科でも治療を行っています。

ベル麻痺やハント麻痺の多くは、後遺症なく治癒します。しかし、1年以上麻痺状態が続いている場合には、筋肉が萎縮して無くなってしまうため、麻痺の回復が見込めなくなってしまいます。このような状況になったものを「陳旧性顔面麻痺」といいます。

また、顔面麻痺には、完全麻痺と不完全麻痺があります。これは麻痺の状態や麻痺の症状によって区別され、古くより形成外科で治療されてきました。

 

おーっと! 気まま徒然日記というよりは講義のようになってしまいましたね(笑)。だんだん話しが難しくなってきましたので、今日はここまでとしましょう。

次回は顔面麻痺の症状についてお話いたします。

 

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顔面麻痺の症状(1)

2010年7月6日

「完全麻痺と不完全麻痺について」

一般的に「麻痺」とは、思っているとおりに体を動かす事ができない状態です。正座をした後の足の痺れは、一番身近な1例です。ただし、これはすぐに治るので一過性の麻痺の代表例です。

 

顔面麻痺は、顔面神経や表情をつくる筋肉(表情筋)がダメージを受けたことで、うまく動かなくなってしまいます。多くの場合、片側だけに症状が出ます。顔の両側に同じように麻痺症状が出ることは極めてまれです。

片側だけに麻痺が起こると、顔が曲がっているように見えます。また、麻痺側の目を閉じることが出来ないこともあります。麻痺側の口角が閉じにくくなり、水を飲む時にこぼれる。というような症状が現れることもあります。このような場合、「笑う」という動作も出来なくなります。

 

このように、片側だけが完全に麻痺して動かない場合には「完全麻痺」と呼びます。これに対して、麻痺側も少しは動くけれど、正常側に比べると動きが弱く、十分な機能を得られいない状態を「不完全麻痺」と呼びます。顔面麻痺の症状について、顔面神経麻痺のページもあわせて見てください。

  顔面麻痺(完全麻痺) 顔面麻痺(不完全麻痺)
  完全麻痺 不完全麻痺

 

このような完全麻痺や不完全麻痺の状態が1年以上続くと、自然には回復が難しい「陳旧性顔面麻痺(ちんきゅうせいがんめんまひ)」になります。

ちなみに、正常だとこんな感じですか? 

 

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顔面麻痺の症状(2)

2010年7月12日

「不完全麻痺の異常共同運動について」

顔面麻痺には、完全麻痺と不完全麻痺があることを前回書きましたが、不完全麻痺の中には、「異常共同運動(いじょうきょうどううんどう)」が起こることがあります。

これは、目を閉じると、勝手に口角が片側だけひきつれてしまったりします。また、口を尖らせると、勝手に片目が閉じてしまったり…。 このような症状は、患者さんによってそれぞれ違いますが、いずれも、ある動作に共同して(意図せずに勝手に)動いてしまうことです。

これは、本人が意識しなくても、勝手に異常な運動を起こしてしまいます。 このような異常共同運動は、顔面神経が混線して、別の指示を間違えて伝えてしまうことにより、このような症状がでます。よく、患者さんに「電話が混線して別な会話が聞こえてきてしまう状態に似ています」と言って説明します。

今は携帯電話が多いので混線っていうのは変ですが、例えるとすれば、こんなことでしょうか・・・。

完全麻痺:電波がつながらない(圏外)状態

不完全麻痺:電波が弱く(アンテナ1本)会話が途切れたり聞き取りにくい状態

異常共同運動:電波が混乱して他人の会話が聞こえてしまう状態 (実際の携帯電話では、このような状況はありませんが・・)

 

麻痺で全く動かないのも困りますが、異常共同運動のように、意図せずに変に動いてしまうのも、困ってしまいますね。

 

難しい話が続きましたので、顔面麻痺についての続き(顔面麻痺の治療についてなど)は、少し間をおいて書くことにします。

 

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サッカー ワールドカップ

2010年7月15日

ずっと顔面麻痺について、難しいことを書いてばかりいましたので、顔面麻痺についてはちょっと小休止して、通常の日記に戻りたいと思いますので、よろしく。

 

先日、サッカーのワールドカップの優勝チームが決まり、1ヶ月におよぶ戦いが終わりました。 スポーツといえば「ゴルフ」の小生ですが、サッカー日本代表のリーグ戦のときは、にわかサッカーファンになって、はらはらドキドキしながら、テレビにかじりつきました。 残念ながら、日本は決勝トーナメントの1戦目で敗退しましたが、見終わった後、すがすがしい気持ちになりました。久しぶりに、何かに一生懸命になっている、無我夢中の姿を見たように思いました。

個人の力では劣っていても(おっと失礼)、チーム全員の力を合わせれば大きな力になります(ゴルフは、すべて自己責任の個人プレーですから、対照的ですね・・)。 最近は、スタープレーヤーが卓越した個人プレーで、得点を挙げることがクローズアップされていましたが、やはりチームワークが大切なんだ! と再認識しました。

 

医療においても、同じこと。 スタンドプレー(例えば、よく言われる「神の手」みたいなこと)も大事ですが、チームワークの方が、やっぱり大事なんだなあ。 当たり前のことですが、最近忘れかけていたことを、認識させてくれたサッカーワールドカップでした。

Thank you!

 

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豪雨と猛暑

2010年7月21日

皆様、大変お暑うございます。お互い体調管理には、くれぐれも気をつけましょう。

今年の天気は、ホントに異常ですね。 関東(東京)地方は、4月5月は結構寒い日が続いたかと思ったら、6月中旬頃には突然暑くなって、非常に蒸し暑くって体調がすぐれませんでした。

いつまでたっても、ぐずついた雨の日が続き、先日、ようやく梅雨明け宣言が出たかと思ったら、今度は、しのぎ難いほどの猛暑です。体が溶けそうですー。

 

梅雨明けの直前には、ゲリラ豪雨(集中豪雨のこと)によって、各地で豪雨による被害がありました。数年前から、ゲリラ豪雨による被害が報告されていますが、今年はますます被害が拡大しているように思います。お亡くなりになった方のご家族の皆様にお悔やみ申し上げますとともに、被害にあわれた方には心よりお見舞い申し上げます。

そうゆう小生も、3-4年ほど前、大雨のため冠水した道路を、やむなく車の運転をしていたら、自宅の少し手前で突然エンジンがストップして動かなくなり、そのまま廃車になってしまいました。なんと買ったばっかりの新車だったので、とっても悔しい思いをしました。それ以来、大雨の時は車を運転しなくなってしまいました・・・。

 

待ち遠しかった梅雨明け宣言が出ましたが、外に出るのもためらうほどの暑さです。 酷暑はくれぐれもやめてほしいのです。こんなことなら、雨が降っていたほうが良かったかなあ。

楽しいゴルフプレーをするために、早く涼しくなりますように!! ゴルフ馬鹿ですみません。

 

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桂枝雀の落語

2010年8月3日

突然ですが、 落語をお好きな方はいらっしゃいますか?

小生は落語を良く聞きます。と言っても、聞いているのはもっぱら「桂枝雀(かつら しじゃく)」さんの落語です。 この方は上方落語の噺家(はなしか)ですが、10年ほど前に若くして亡くなりました。 ちなみに、車の運転中や寝る時のBGMは「桂枝雀」さんの落語です。 おかしいですか?

 

実は、中学生の頃より落語が大好きで、暇があれば新宿の末広亭に通ったものです。 通常、落語はじっくり聞いて、じわじわと「ははあ、そうだったのか」とニヤリと笑うっていうのが、常套手段のようですが、桂枝雀さんの落語は違っています。 機関銃のように、息つく間もなく関西弁でしゃべりまくります。 じわじわ聞くなんてものじゃありません。 今で言えば、落語というより一人漫才に近いかもしれません。

そのしゃべり方が、関西弁特有のアクセントと調子の良さ、絶妙な節回しなど、小生にとって、あたかも音楽を聴いているように感じるんです(実は小生、関西生まれなもので・・)。 聞いているうちに、「あっはっはー」と大笑いすることもあります。 調子の良いフレーズが耳に残り、つい口ずさんでいることもあります。

いくら口で説明しても、ぴんと来ない人も多いと思いますので、もし機会があったら、是非聞いてみてください。 あなたも、もしかしたら、桂枝雀ワールドにはまってしまうかもしれませんよー 

(^o^)v

 

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便利なもの

2010年9月7日

この夏、関東地方も35度を越す記録的な暑さでした。9月になってもまだまだ暑い日が続いています。冷房の無い生活は考えられませんねー。かつては冷房なんて無かったのに・・・。もっとも、昔はこんな猛暑日は記憶にありませんが。

携帯電話も、最近は欠かせないものになりました。というより無いと不便で生活できないのでは? と思うほどになりました。電話帳のメモリに電話番号を入力しておけば、覚える必要もありません。固定電話の全盛期には、よくかける番号は暗記していました。語呂合わせで覚えたりもしました。しかし、携帯電話になってからは、名前で検索すればOKなので、覚える必要もなくなってしまいました。
携帯電話とパソコンのおかげで、記憶力が鈍ってきたんじゃなかろうか、と書いている人も多いようですし、僕もそう思います。

 

便利なものは私たちの生活を豊かにします。その一方で、人間の本来備わっていた能力を奪っていくような気がします。
冷房が効いた涼しい部屋、そして暖房が効いた暖かく快適な部屋にばかりいると、人間のもつ順応性が退化してしまい、適応力や自己防衛機能が衰えていくのでは?と思って、僕は夏にも、冬にもゴルフに精を出しています(単なる言い訳?)。

 

暑い夏は汗をかいて新陳代謝を促すことも大切です。暑いからこそ、汗をかいた後の冷たいスイカやトマトは格別に美味しいものです。小生は暑くてもゴルフに行って汗を流しておりますので、まだまだ新陳代謝は若い人に負けませんが、願わくば、日傘の下はクーラーになっている、個人用携帯冷房日傘なんていう便利グッズ、誰か開発してくれないかなあ。。。。

 

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「がむしゃら」の心

2010年10月12日

皆様、1か月ぶりです(汗)。 ようやく秋らしくなりました。

 

ところで突然ですが、私たちは、日頃、便利なものに囲まれて生活しています。そんな生活の中で、何かに一生懸命になることってありますか?

一生懸命といえば、以前「若い世代の人たちへの提言」ということで講演を頼まれました。何を話そうか?若い人たちの興味のあることは何だろう? いろいろ考えましたが、年齢が違いすぎるので思いつきません。そこで、小生が若い頃、寝る間も惜しんで「がむしゃら」に研究や手術に打ち込んだ時のことを話しました。

 

最近はパソコンの普及で、誰でも簡単に知識を得ることが出来るようになりました。また、文書作成も飛躍的に容易になってきました。しかし、小生の若い頃は、もちろんパソコンはありませんし、ワープロ(ワープロを知らない世代もいますよね)すら無い時代でしたので、ひたすら手書きで論文など書きました。
今は、パソコンを使ってインターネットで、簡単に世界中の論文が手に入りますが、当時は知識を得るために、本を読んだり論文のコピーを取り寄せて読んだものです。お金をかけて苦労して手に入れた分だけ、一生懸命に自分のものにしようと「がむしゃら」に読んでは、研究に没頭しました。不思議なことに、その時に得た知識や技術は何十年経った今でも、しっかり体に染み付いて覚えています。
苦労して体で覚えた(習得した)ものは、ずっと身についているものです。逆を返せば、安易に手に入れたものは、簡単に忘れてしまいがちではないでしょうか?

 

ノーベル化学賞を受賞された日本人2氏の方も、私が想像する以上に「一生懸命(=がむしゃら)に努力した結果の賜物」にではないでしょうか?。。。おそらく。

年寄りの説教みたいになってしまいました。でも、「がむしゃらの心」という言葉は、結構評判良かったです・・・。(同年代の医師は、非常に受けてました)

 

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韓国の印象記(1) 交通事情

2010年10月20日

ある会議に出席のため、9月中旬に1泊2日でソウルに出張しました。10数年ぶりの韓国訪問でしたが、とても驚いたことがいくつかありました。

 

最初に驚いたことは、空港からロッテワールドホテルに向かうためタクシーに乗りましたが、オリンピック会場方向への高速道路の広さと車の多さにびっくりしました。あいにく、夕方の帰宅時間だったらしく、4車線の高速道路がひどい渋滞でまったく動きません。 こんな渋滞は東京都心でも、すっかり見かけなくなりました。
次に驚いたのは、車のマナーの良さでした。 小生の知っている韓国のドライバーは、このような渋滞の時、警笛を鳴らしながら狭い隙間に我先にと突っ込んでいく姿で、「うるさい」の一語につきました(ごめんなさい。全てそうだったとは思いませんが・・。以前、北京オリンピック前の中国の交通事情などを報道していた時と、似たような光景を見たような気がします・・・)。 しかし、今や現代(ヒュンダイ)自動車など自動車製造大国として、ソウル・オリンピック(1988年に開催)を機会に運転のマナーが大きく改善されたのでしょう。これもまたオリンピック効果の1つではないでしょうか。 かつての日本も1964年の東京オリンピック開催を機に、文化的にも経済的にも大きく変化しましたね。

 

また、漢江にかかる多くの橋はきれいにライトアップされていました。さらに驚いたのは、渋滞のため目的地のロッテワールドホテルまで2時間半もかかりましたが、タクシー料金は4000円ちょっとで驚くほど安いものでした(もちろん円高効果の恩恵もありました)。

これに比べて日本のタクシー代は高額に感じます。日本を旅行する外国人が日本のタクシー料金の高さに驚くのが良く分かります。

ただ、タクシードラーバーとの会話は2時間半のあいだ「くるま、おおいね」という片言の日本語だけが通じました(英語は全く通じませんでした)。

 

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韓国の印象記(2) 大病院

2010年10月29日

前回、久しぶりの韓国訪問で交通事情に驚いたことを書きましたが、今回はバージョン2です。

 

会議のあった場所は、Asan Medical Centerという病院の会議室だったのですが、なんと、その病院は約3,000床もある大病院でした。 この病院の創設者は現代(ヒュンダイ)自動車の創立者であるChung Jun-Yung氏(1915-2001)で、通称「Asanさん」と呼ばれていて、病院はその名前を冠したものだそうです。 この病院は僕がいままで見たことも無い大きさで、世界で3番に大きな病院だそうです。

昼食時に地下の食堂に行ったのですが、地下全体がレストラン街になっており(あくまで病院の地下フロアですよ…)、コンビニはもちろん土産物類などまで売っていて、まるでデパ地下状態でした。 うろうろ見物しているうちに「ここは本当に病院?」と思うほど人々の熱気が溢れておりました。ごった返している中を点滴さげた病人も歩いているのでびっくりしながらも「やっぱりここは病院だった」と再認識するしだいです。 日本の病院に感じられる静かな感じはありません。まさに、韓国パワーで病気もふっとびそうな勢いでした。

 

ひるがえって、日本の病院をみますと大病院も保険診療のもとで経営に必死、中小の病院では倒産寸前のところも多いと言われています。マスコミなどでは医師不足も叫ばれており、Asan病院のような元気な病院が現れるのはいつの日でしょうか。

ファイト!日本!

 

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脂肪吸引の事故

2010年11月5日

確か先月の上旬頃、九州の美容整形クリニックで脂肪吸引を受けた患者さんの死亡が、新聞で大きく取り上げられていました。およそ半年前にも脂肪吸引での死亡事故が大きな話題になっております。両方とも警察の捜査により医師の業務上過失致死になっていると報道されていました。すなわち、「医師の過失」ということです。

新聞の記事によると、1件(九州)は局所麻酔薬の過剰投与による中毒、1件(東京)は脂肪吸引の際に内臓に傷をつけたことによる腹膜炎が原因だそうです。

脂肪吸引による死亡事故は美容整形(マスコミなどでは、いまだに美容整形と言っていますが、正しくは美容外科といいます)中で、もっとも多いとされるものです。また、その原因は極めて単純なことが多く、麻酔の事故、乱暴な手術(内臓損傷など)、吸引脂肪の過多によるショック、と明らかに医師側の回避できるものです。なぜこのような不幸なことが相次いで起こるのでしょうか?

 

脂肪吸引は「簡単で手軽にできる」と多くの方が思っているかもしれませんが、実は、脂肪吸引は意外と体にダメージが多い手術の1つです(もちろん、脂肪吸引をする部分や脂肪量によりますが)。このような手術は、丁寧にすると手術時間がかかり、全身麻酔などでは入院施設やリカバリー室、専門の麻酔医が必要など、病院(あるいはクリニック)側の基本的な費用が相当必要です。ところが、皆さんが良くご存じの美容整形というクリニックは、過当競争時代に入ってきており、ネットなどでもできるだけ安い費用を提示しないと患者さんが来てくれません。

安い費用を提示するには、「どこかで手抜きをする」こともあり得ますので、その結果、悲劇が起こってしまうことがあります。もちろん、どのようなベテラン医師でも絶対に失敗しないということはないのが手術というものですので、一概には決めつけることは出来ませんが・・・。

 

医療に限ったことではありませんが、ちょっとの気の緩みから大事故につながることは多々ありますので、気を付けたいことです。

 

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美容医療の適正価格

2010年11月13日

数年前、マンションの耐震偽造事件が大きくマスコミで取り上げられておりました。その時、僕の友人の建築家に「どうすれば買う時に分かるのか?」と尋ねたところ、建ってしまったら専門家でも外見からは、まず判断できないとのこと。「では、どうすれば良いのか?」と尋ねたところ、言葉は悪いが「安物買いの銭失いでしょう」ということでした。すなわち、あのような立地条件の良いところで、安い値段はどこかに手抜きがある、ということだそうです。

 

自費診療である美容外科も、しばしばインターネット上などで異常に安い料金を提示しているクリニックがあります。「こんな料金でなぜ可能なのだろうか?」と思うこともあります。今はデフレの時代で、物の価格は下がっています。それに応じてサービスの対価も下がってきています。いわゆるデフレスパイラルです。いくらデフレだからだといっても、価格が半分以下になることは稀ですし、給与が下がったと言っても、いきなり半分になることも無いように思いますが・・。

多くの医療は保険診療なので、医療価格について考えることは少ないと思いますが、自費診療となると同じ診療内容でもクリニックによって金額に違いが大きですし、全額自己負担なので少しでも安い方が良いと考える方も多いとは思います。しかし、物(サービスや医療も含めて)には時代に見合った適正価格があると私は思います。最近見かけるインターネットショッピングの「訳あり商品だからお安く!」じゃないですが、あまりに安すぎる場合には、なんらかの「訳あり」と考えた方が良いのでは?と思います(前述のマンション価格しかり・・・)。

 

最近では大学病院などでも、美容外科を診療しているところが多くなっております。杏林大学でも美容外科がありますが、大学病院だから安いのでは?と思ってこられる患者さんもおられますが、美容外科は保険診療ではなく自費診療になりますので、決して安いわけではありません。また、自費診療の料金設定は、経費を計算して病院事務で適正価格と認められたうえでの料金です。もし他院より安かったとしても、「訳あり」料金ではありませんので、悪しからず・・。

 

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顔面麻痺の治療1:

2010年11月30日

「急性麻痺と慢性麻痺の治療法の違いについて」

以前に読まれた方もいらっしゃると思いますが、顔面神経麻痺(FP、あるいは顔面麻痺)について、おもな原因や症状などについて、つれづれに書いてきました(2010年6月4日から記載)。 顔面神経麻痺シリーズの後編として、治療方法などをできるだけわかりやすく、ご紹介したいと思います。少し専門的になりますが、興味のある方は是非読んでください。

 

以前にも説明しましたが、顔面麻痺には大きく分けて急性顔面麻痺と慢性顔面麻痺(陳旧性顔面麻痺ともいいます)があります。治療を行うに当たって、急性麻痺と慢性麻痺とでは根本的に違ってきます。

急性麻痺の多くでは、神経の麻痺が早く回復すれば筋肉(笑顔などの表情を作るので表情筋と呼ばれます)も動きをとりもどせます。麻痺している期間を短縮させることにより、筋肉の動きを回復させる治療法が必要になります。この場合、内科的治療(薬などによる治療)が主になります。

しかし、1年以上経っても神経の麻痺の回復が認められないような慢性麻痺では、筋肉そのものが萎縮(いしゅく)してしまうので、仮に神経が戻っても筋肉がうまく反応しなくなります。そのため形成外科的治療法をお勧めします。

ちなみに顔が麻痺して動かないということは、筋肉が麻痺しているのではなくて、筋肉を動かす神経が麻痺しているからです。また、長期間、筋肉を動かさないでいると自然に筋肉が小さくなってしまいます。(例えば、大腿部などを骨折した場合に3か月ほど足を動かさないだけで、筋肉が細くなってしまいますね。また、筋肉量の回復にはリハビリも必要になります)。したがって、仮に、神経麻痺が発症してから1年以上経過した後に神経の麻痺が回復した場合、今度は筋肉が小さくなってしまう(萎縮する)ことによって動きにくくなってしまうのです。

 

ちょっと難しかったかな?

次回は急性麻痺の具体的な治療についてです。

 

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顔面麻痺の治療2:

2010年12月6日

急性麻痺(その1)

前回同様、顔面麻痺についてですが、なかでも「急性麻痺」についての説明です。

 

症状のおさらいになりますが、ある日突然に発症するベル麻痺や、水痘発疹をともなって発症するハント症候群(麻痺)は、ウィルスの感染症といわれ、急性麻痺の代表例として挙げられます。

ベル麻痺は突然に起きるので特発性麻痺とも呼ばれ、その原因はストレス説、寒冷暴露説などいろいろな意見がありましたが、最近は、単純ヘルペスウィルスI型との見方が強くなっております。

一方、ハント麻痺は水痘帯状疱疹ウィルスが原因とされております。これらのウィルスは、子供の時にかかった水疱瘡(みずぼうそう)のウィルスが体の中に潜んでいて(不活性化)、体調が悪くなったときなどに活性化して症状を出すと言われております。したがって、何度かかかる人もありますが、他人から「うつる」ことはありません。

 

治療は、いずれの場合も、早期に抗ウィルス剤(アシクロビルなど)やステロイド剤の大量投与(ただし、ステロイドは患者さんの状態で使えないこともあります)、ビタミンB12、血行促進剤など投与します。これらの治療法は耳鼻科、内科、形成外科、ペインクリニックなどで行われ、現在では、その内容には大きな違いがありません。

特に、ベル麻痺は、自然に治ることも多く、90~95%は完全に治癒すると言われています。しかし、ハント麻痺は水痘疱疹ウィルスの神経破壊力が強く、上記の治療を行っても25~39%の方になんらかの後遺症が残ります。

 

次回は、急性麻痺の治癒・回復までの期間についてです。

 
全く関係ないですが、杏林病院の近くの野川公園の紅葉です(平成22年11月下旬撮影)。

野方公園のもみじ写真1

 

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顔面麻痺の治療3:

2010年12月9日

急性麻痺(その2)

急性麻痺の治療の続きです。

急性麻痺の治療において、治癒までの期間は、早ければ2週間目くらいより少しずつ表情が回復してきます。しかし、突然に、すべての表情が回復することはありません。長ければ1年近くかかることもあります。少しずつ回復して、気が付いたら麻痺症状が無くなっていた(あるいは、ほとんど気にならない)というような感じです。

 

治療を行う時期に関しては、早ければ早いほど後遺症も少なくなるので、できるだけ早期の治療をお勧めします。特に、ハント症候群では早期治療が重要です(素人診断は禁物です!「なんだかいつもと違う。変だな」などと違和感がある場合は、できるだけ早めに医者にかかりましょう)。

全顔面神経麻痺の約80%を占めるベル麻痺やハント麻痺は(このうち、ベル麻痺が圧倒的に多い)、多くの場合、早期の投薬治療により早期回復および治癒が見込まれます。しかし、麻痺症状が1年以上続くと表情筋自体の萎縮が起こりますので、後遺症を治すために形成外科的再建手術が必要になることもあります。

 

外傷、耳下腺腫瘍手術、脳腫瘍手術などによる麻痺、先天性麻痺などで、神経や筋肉そのものが切断されたり、無くなったことにより起こる麻痺は、はじめから「非回復性麻痺(ひかいふくせいまひ)」と呼ばれ、症状に応じて、神経移植、筋肉移植などの手術が必要になります

これらの再建手術については、次回以降ご紹介します。

 

風邪だって、こじらせると肺炎を引き起こして、大事に至る可能もありますから、何事も初期の対処が肝心です!

 

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顔面麻痺の治療4:

2010年12月17日

陳旧性顔面麻痺(不完全麻痺の場合)

ウイルスが原因となるベル麻痺やハント麻痺は、両者で全顔面神経麻痺の約80%を占めます(このうち、ベル麻痺が圧倒的に多い)。残りの20%の麻痺は、脳出血、脳腫瘍手術などによる麻痺、外傷、耳下腺腫瘍手術、先天性麻痺などで、神経や筋肉そのものが切断されたり無くなったことによる麻痺で、「非回復性麻痺(ひかいふくせいまひ)」と呼ばれます(これについては、顔面麻痺の治療3(12月9日)に書きましたね)。このような非回復性麻痺の場合、症状に応じて、神経移植、筋肉移植など形成外科的な再建手術が必要になります。

 

前の項で急性麻痺について書きましたが、ベル麻痺の約5%、ハント症候群(麻痺)の約20%がなんらかの後遺症を残し、一般的に陳旧性(ちんきゅうせい=慢性と言う意味)麻痺と呼ばれます。脳腫瘍や耳下腺腫瘍の手術、あるいは外傷などで神経が切れた場合には、できるだけ早く神経縫合や移植の手術で麻痺の回復を図りますが、回復しない場合にも陳旧性麻痺の仲間入りをします。 

これらの陳旧性麻痺の患者さんの大部分は、ある程度まで表情の回復が得られている不完全麻痺の状態で、多くの場合、医師から「これ以上は治らないからあきらめなさい」といわれてしまいます。確かに、顔面の表情は多くの表情筋が複雑に動いて作り出されるので、不完全麻痺の状態によっては、それ以上の治療は無理なこともあります。

 

 現在、不完全麻痺の治療方法の救世主として登場しているのが、美容外科の治療法をとりいれた再建法です。眼瞼下垂手術(がんめんかすいしゅじゅつ=下がった眉を上げる手術、上まぶたを上げる手術)、ボツリヌス・トキシン注射のほか、フェイスリフト手術で下がった頬を引き上げる(静的再建術)方法が効果的なことが多くあります。しかし、残念ながら、一般の医師にはあまり知られていないので、われわれ形成外科医がもっと宣伝しないといけませんね。

症状や治療方法によっては、保険診療とならない場合もありますので、料金については受診の際にお尋ねください。

 

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顔面麻痺の治療5:

2010年12月28日

陳旧性顔面麻痺(異常共同運動)

顔面の表情筋は左右対称に約20個存在し、それぞれが独立に、あるいは共同で動いて、笑ったり、怒ったり、しかめつらをしたり、口をとがらしたり、目を閉じたり、と複雑な表情を作り出しています。

 

不完全麻痺の中には動きが弱いタイプと、動きは良いが意図せずに勝手に動いてしまうタイプがあります。後者を「異常共同運動」とよびます。前にも書いたと思いますが、異常共同運動は、不完全麻痺の中で患者さんがもっとも悩んでおられるものですが、一般の医師にはほとんど顧みられることがありません。なぜなら、意図せずに動くけれども、機能的に欠損があるわけではないからです。

異常共同運動の中でも一番多い症状は、口をとがらすと片方の目が閉じてしまうもので、神経質な患者さんは人前で御茶などは飲めないとおっしゃいます。また、逆に目を閉じると頬が動く異常共同運動で、瞬きとともに起こりますので、いつも頬がピクピクしています。もっとも、これらの症状は無い方が良いに決まっていますが、機能的にあまり問題がない場合には、異常共同運動の症状さえ気にならなければ、放っておかれる患者さんもいらっしゃいます。

 

これらの異常共同運動の治療は、痙攣性(けいれんせい)のものにはボツリヌストキシン注射が有効なこともありますが、永続性がない(約6カ月で効果が切れる)ので、異常に動いている筋肉の一部を切除して制御します。顔に傷などが残らないように、ここでも美容外科的アプローチが行われます。

 

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