顔面外傷、顔面骨折

顔面皮膚・軟部組織損傷 (がんめんひふ・なんぶそしきそんしょう)

 小さな傷でも顔面に生じた傷跡は患者さんにとって気になるものです。このため、顔面外傷の患者さんに対しては、小さな傷でもできるだけ傷跡が残らないように縫合処置(真皮縫合法)を行います。また、外傷によっては涙道損傷や、顔面神経麻痺など重要神経や器官の損傷を伴っている場合もありますので注意が必要です。

 

顔面骨骨折

 顔面の骨は薄いので、野球のボールが当たったり、転倒や自動車事故などの打撲で簡単に骨折します。一番多いのは鼻骨の骨折ですが、頬骨や下顎の骨折も多いものです。眼窩骨骨折では、物が二重に見える「複視」という障害がおこります。また、重度な損傷では、視神経が傷害され視力が無くなる恐れもあります。

 顔面骨の特に薄い部分では、眼窩底骨折(吹き抜け骨折)やルフォー型骨折のような特徴的な骨折が起こります。顔面骨折はそのままにすると、異常な状態で骨が固まって、食物がうまく噛めない、物が二重に見える、など機能的な障害を残すほか、顔面の変形など整容的な後遺症を起こします。したがって、受傷早期に適切な形成外科の治療(骨折の整復と固定)が必要です。

 当科では、できるだけ顔に傷跡が残らない切開で骨折の固定を行っております。また、固定に使うプレートは通常、チタン製(金属)のものですが、最近では数ヶ月で溶けてなくなる吸収性プレートも使うことが出来るようになりました。さらに、超音波で診断しながら骨折部を観察し、できるだけ小さく目立たない顔面の切開で整復・固定を行う方法が成果を上げています。

 

顔面骨折のイラスト

代表的な顔面骨折のタイプ

 

ルフォー分類:

  I 型(赤線)

  II 型(青線)

  III 型(緑線) 

  *黄色の部分は頬骨粉砕骨折

顔面骨折3DCT

骨折の3次元CT像

 

ルフォーI 型(赤い矢印)と下顎の多発骨折(黒い矢印)がある

顔面骨折プレートXp

顔面骨折のチタンプレート固定

 

チタンプレートは金属なので永久に残る。残っても問題はないが、最近では数ヶ月で溶ける吸収性プレートも使われる。

 

陳旧性顔面骨骨折 (ちんきゅうせいがんめんこつこっせつ)

 顔面骨の骨折は診断が難しく、未治療のまま放置されている場合も多くみられます。鼻骨骨折後の変形(鼻曲がり-外傷性斜鼻-)や、頬骨骨折後の頬部の変形、眼球陥凹など、時間が経過した顔面骨骨折後の変形(陳旧性顔面骨折)は、治療が困難なものの一つです。このような場合はクラニオフェイシャルサージャリーの技術を応用した顔面骨骨切り術による治療を行っています。

 

メディア紹介:

当科の尾崎講師が「顔面骨折」についての取材を受け、日本経済新聞(平成23年1月28日、夕刊)の元気ナビのコーナーで、「顔面骨折」の治療全般についての解説をしております。(この記事全体を読む(PDF))

 

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